松田聖子

NHK特集の松田聖子のドキュメンタリーを見た。以前はどちらかと言えばあまり好きではなかったのだけれども、同じ年齢であるということもあってか自分の中にある種の親近感があることに気がついて不思議な気分であった。何よりも「松田聖子」的なものが全く変わっていないことに驚くとともに尊敬さえも感じられた。番組自体は自分の信じるところを貫き通している時代を開く女性といったまとめ方だったように思うけれども、ぼくは「とにかくいまだに全く変わらない松田聖子」にただただ感銘を受けた。番組の中で一番しっくりくるコメントを述べていたのは篠山紀信だった。「松田聖子は死ぬまで松田聖子であり続ける必要がある」と。彼女の「変わらなさ」は強い意志というよりも信じられないほどの無神経さを演じてみせる強さ、常人では持てないほどの「スルー力」とでも言うべきだろうか。80年代を代表する、そして我々の世代を代表する希有の才能だと言えるかも知れない。
唐突なイメージだが、45歳になってステージで歌っている松田聖子の姿を見るとき、何か数十年振りに見た万博公園太陽の塔のような、懐かしくもシンボリックな「不変の何か」を感じずにはいられなかった。