Livedoor

今更ライブドアのことを書くのもどうかとも思うけれど、昨年末からちょっと書いておきたいと思っていたことがあったのを思い出した。それはライブドアのワイアレスサービスのことだ。これは東京の山手線の内側の80%を無線LANのエリアでカバーし、一ヶ月500円ちょっとでネットワーク接続を提供しようというサービスだ。ぼくは自宅も職場も山手線の内側なので、生活のかなりの部分がサービスエリアに入ると思われたので興味を持っていて、また去年の11月の正式サービス開始までの間,無料の試験サービスを試したりしていた。このサービスでもう一つ興味を持ったのは、やはりライブドアによる日本放送買収の攻防が繰り広げられたあとにアナウンスされたサービスだったということもあると思う。実際、あれだけ大騒ぎをして、放送とインターネットということについても色々考えさせられたし、そう言っては失礼かもしれないがライブドアというのはインターネットのポータルをやっている会社としてはどうもかなりしょぼい感じがしていたところに、非常に野心的なビジョンを示したサービスだと思ったからだ。skypeのようなものを使えば携帯電話に取って代われるだろうし、ストリーミングを使えば放送の代わりになるわけで、本当に面でサービスが展開出来ればかなり画期的なことになるに違いない。もちろん山手線の内側だけって言うのはかなり狭い範囲ではあるけれど、とにかくそれで試してみてうまく行けば広げてゆけば良い。ライブドアはIT企業としてはぱっとしないとか、マネーゲームで大きくなっただけでビジョンはないとか色々言われてきたけれど、とにかく沢山お金を集めてこういう野心的なサービスを始められるのはライブドアもなかなか捨てたものではないと思ったものだった。

実際には12月に正式サービスが始まったところでぼくは解約してしまった。当初面でカバーすると言っていたにも関わらず、残念ながらサービスインの時点ではところどころ繋がるところもあると言った感じで、とても面でカバーしていると言った感じではなかったからだ。実際、ライブドアのアンテナの多くは電柱に取り付けられていて、その位置は地図上で確認も出来るようになっているのだが、地図に載っていない新しいアンテナがあったりして、無料期間は時々気にしてアンテナを探しながら歩いたりしてみた。上ばっかりきょろきょろして、時々鞄からノートパソコンを取り出して道ばたで広げているというのはかなり怪しい光景だったと思うけれど。

話はちょっと逸れるが、そうしてアンテナを探しながら歩いてみると、ちょっとびっくりしたのは、今や東京の電柱には実に色々なものがついているということも分かって、面白かった。PHSのアンテナ、CATVの中継機、有線放送の機器、その他得体の知れない器械やケーブル。LEDがチカチカしている箱が本当に沢山くっついている。いつの間に,という感じであった。

話を戻すと、そういうわけで去年12月のサービスインの時点ではお金を払うにはちょっとまだ十分なサービスとは言えないと思って止めてしまったけれど、ライブドアのこのサービスについては大いに期待もし、長い目で見てゆこうと思っていた。ここへ来て堀江氏が逮捕されてライブドアが散々に叩かれて、堀江氏はそれ以上のビジョンを語ることも無く退場してしまうのかもしれないと思うと、結局はそこまでなのかとも思っていた。

26日のNHKのよるのニュースを見ていたらライブドアの新しい社長になった平松氏がインタビューを受けていた。この時期に最近子会社になった会社の社長だったからと言って火中の栗を拾うようなことをしなくてもと思っていたのだが、この方は実にきちんと誠実に話をされているように見受けられて、感銘を受けた。もしかしたらこの人はライブドアを救うかもしれないと思わせるような印象と言ったら良いだろうか。平松氏はライブドアのコアになるサービスをきちんとしてゆくという話をされていて、その中にライブドアワイアレスの名前も出てきたので、またこのことを思い出したというわけだ。月500円ちょっとだし、ライブドアのビジネスの中では期待しているものだということを示すためにも、改めて契約してみようかなとちょっと思ったりしている。