Deep Impact

NASAが打ち上げた探査機ディープインパクトがテンペル第1彗星にインパクターを発射して、彗星の核にこれを衝突させることに成功したという。NASAのページでは探査機やインパクターそのものから撮った彗星の核の写真やムービーをたくさん見ることが出来る。月や惑星などと違って彗星というのは小さいし、たまにしかやって来ないものというイメージが強いせいか、いびつな形をした彗星の核の写真を見ると、ちょっと嬉しくなる。

ところで宇宙探査というと、ぼくらの世代はやはりアポロの月着陸が強烈な印象で、当時の理科少年たちはみな夢中になったものだった。小学生だったぼくもご多分に漏れずテレビの前に釘付けだったわけだが、今時の学生と話しているとそもそも付きに人類が行ったことを知らなかったりして、かなりずっこける。鳥飼久美子さんの「こちらヒューストン、全て異常なし」や上野の科学博物館で行列をした月の石、プラモデルで作った月着陸船、どれも懐かしい記憶である。
でも、長ずるに及んで子供の頃に科学技術の輝かしい成果に見えていたアポロも、かなり無理をしてソビエトと競争した結果だったことを見せつけられ、アームストロングが最初にしたことは結局星条旗をたてたことだったのかも知れないと思うにつけ、子供の頃の熱狂は冷めてしまったわけだが、ディープインパクトのニュースを読みながら、「相変わらずアメリカは独立記念日に花火上げたかったのね」と思えてしまうと、せっかくの彗星の写真も台無しってものである。

一方、去年から民間の宇宙船がいくつも作られてこれまたニュースになっているけれど、こちらはもっとストレートで、そういう意味では気持ちがいい。ITで儲けた人たちがこぞって宇宙船作るって言うのも何だかなぁとも思うけど、NASAも月に人を送れなくて彗星を叩いているって言うのも貧乏臭い気がする。宇宙も政府から民間へという時代なのかも知れない。そういう意味では象徴的な年なのかも知れないな。